ワイヤ駆動

ワイヤ駆動はワイヤを使って駆動源から離れた対象を動かす方法です。 モータ等が設置できない部分を動かしたり、駆動源を1ヶ所に集めてマシンをシンプルにしたりと、 幅広い使い方ができます。

便利な一方、ワイヤが絡まると動作不能になる弱点があり、ワイヤが絡まないように注意する必要があります。

使いこなせばシンプルでトラブルの少ない、ワイヤ駆動について紹介します。

1.基本設計

1.1 基本動作

プーリ等でワイヤを駆動し、ワイヤに接続されている機構を作動させます。
ワイヤにプーリを接続すれば円運動に、スライドを接続すれば直線運動になります。

ワイヤ駆動の例

1.2 ワイヤの駆動

ワイヤを固定

ワイヤはプーリ等に固定して駆動させます。 ワイヤは一般的に細くてスベスベしているため、 摩擦力でワイヤを駆動させるのは難しいです。

ワイヤの一部が固定されているため、ワイヤを1方向に駆動させ続けることはできません。 そのため、アーム操作やスライド操作など、一定の範囲を往復させる機構にワイヤ駆動は向いています。

右のような形でワイヤを固定するとプーリの可動角度は180°になります。 アーム操作には十分ですが、スライド操作にはワイヤの駆動距離が足りないかもしれません。


ワイヤの駆動距離を増加させる

スライド操作等のためにワイヤの駆動距離が多めに欲しい場合は、ワイヤをプーリに余分に巻いて駆動させます。 余分にワイヤを巻いた回数だけ、駆動するプーリの可動角度が増えていきます。

このとき、右に巻いたワイヤと、左に巻いたワイヤは必ず別々のプーリに分けておきます。 2つのワイヤを1つのプーリにまとめるとワイヤが絡まってしまうためです。

右巻き用と左巻き用の2つのプーリは別々の場所に設置しても大丈夫ですが、 上下に重ねるとマシンがシンプルになってよいと思います。

1.3 ワイヤによる複数駆動

ワイヤ駆動は1つの駆動源で複数の機構を連動させることができます。

駆動源から複数のワイヤを伸ばし機構を連動させる「並列」と、 機構間をワイヤでつなげていく「直列」が考えられます。 状況によりますが「直列」の方がワイヤが絡みにくいため、お勧めです。

2. 詳細設計

プーリを使ってスライドを動かす機構を例に、ワイヤ駆動の詳細を紹介します。

2.1 ワイヤ

ワイヤの条件は高強度で伸びず、耐摩耗性及び柔軟性があることです。 ワイヤ駆動としては定番のステンレスワイヤロープが全ての条件を満たしていますが、 下記理由により使用を避けます。

・ 曲げ抵抗がある
・ クセやキンクが発生する
・ 切りくずが皮膚に刺さると痛い

代わりに糸をワイヤとして使用します。 条件に合う糸をいろいろ試しましたが、釣り糸の「メーターテクミーゼウス8号」が良かったです。 伸びにくい素材ですが使用していると微妙に伸びていきますので、ワイヤの張力を定期的に調整してやります。

» メーターテクミーゼウス8号

2.2 駆動プーリ

プーリの製作⁄組立

プーリの形を旋盤で削り出すのは手間が掛かります。 大小の円板を重ねてプーリにすると製作が楽で、部品を外注しても安価に抑えることができます。 プーリにはワイヤ固定用の小さな穴を開けておきます。

DCモータで駆動する場合は、プーリの固定にセットカラーを使うとよいです。

プーリを1回転以上駆動させたいときにサーボモータを使用する場合は、無限回転機能があるサーボを使用します。

» セットカラー


ワイヤの固定

ワイヤの中間にワッシャ等を巻きつけ、接着材で固定します。 プーリに開けておいた固定用の穴にワイヤを通し、各プーリにワイヤを伸ばします。

2.3 ガイド

ワイヤが擦れる部分には潤滑性に優れるテフロン(PTFE)素材のスペーサを使用し、 その両側をジュラコンのワッシャで挟みます。 ガイドの高さは黄銅等のスペーサで調整します。

各部品はネジを締めて固定します。 一番上に重ねる金属ワッシャは必須です。 これがないとネジ締結時にジュラコンのワッシャが歪みます。

» ジュラコンワッシャ
» テフロンスペーサ
» 黄銅スペーサ

2.4 連結部

ワイヤの端をネジとワッシャで抑え込んで固定します。 ワイヤを引っ張りながらネジを回すと両手が塞がりますので、 ナットは予め接着剤で固定しておきます。

連結部のネジはワイヤの張力調整とスライド位置調整のために定期的に外すことになります。

3. 応用編

3.1 スライダの2倍伸ばし

仕組み

第1スライダにガイドを2つ設置し、ワイヤのループを作ります。 ループしたワイヤの1部を機体側に固定、反対側を第2スライダに固定します。

すると、第2スライダは第1スライダの移動した距離の2倍移動します。

ラック&ピニオン機構でも似たようなことができますが、 この機構にはスペースがないところに設置できる利点があります。


設計例

スライドレールを2つ重ねて駆動させる例を紹介します。

» 右図の拡大表示

使用したスライドレールは下記

» ミニガイドレール MRS20-400
» ミニガイドキャリッジ MR-20CS


製作例

上記の設計例を基に救助機構の展開⁄格納を目的として製作した例を紹介します。

遠くまで救助機構を展開し、救助後はマシン手前側までしっかりと引き込みます。

© 2014 Karakuri Ninja Robot Project